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アパイニNo.6 ポホン・ブリンギン

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バリのあちこちで見かける、祭壇が設置されていたり、布を巻かれたりした大きな木。それらの多くは『ポホン・ブリンギン(Pohon Beringin)』と呼ばれるガジュマルの木で、バリ・ヒンドゥー教では聖なるパワーの宿る神聖な木として人々から崇められています。ガジュマルの木は自生しているものもたくさんありますが、寺院や墓地、市場、交差点や村境などに、悪い霊やパワーを吸い取り閉じ込める目的で植えられるのも一般的で、寺院や村の守り神とも言えます。

※必ず全ての村や寺院になくてはいけないというわけではありません。

APA INI豆知識!

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その❶ ガジュマルの木=ポホンブリンギンではない!

全てのガジュマルの木を『ポホン・ブリンギン』と呼ぶわけではありません。ご神木にすると決められた際に『ムプティック』という浄化の儀式を執り行い、神聖化されたもののみ『ポホン・ブリンギン』と呼ぶことができるのです。それに対して浄化の儀式を行っていないガジュマルの木は『クロヨ』と呼ばれ、悪霊の住処と言われます(実際にはパワーを善くも悪くもするのは人間次第)。

■こぼれ話 『クロヨ』の木の力を借りて、黒呪術師がパワーを飛ばしてお互いの呪術の力比べをするという噂も。

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その❷ バリ人も意外と知らない?

現在ではバリの多くの人々は、ガジュマルの木は全て『ポホン・ブリンギン』という名で、元々神聖な木だと認識している人の方が圧倒的に多く、本来の宗教的な意味合いを知る人は限られた人のみとなっています。

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その❸ 通り過ぎる時は

一度神聖化されたポホン・ブリンギンは、聖なる木として存在し続け、バリの人々に崇められます。神聖な存在なので、木を通り過ぎる際には、車やバイクのクラクションを鳴らしたり、お祈りをするなどし、敬意を表します。もし挨拶をしないで通り過ぎた場合は悪いことが起こる場合もあるとも言われています。

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Writers Voice 神聖な木の先人の教え

バリに数ある木の中でも最も大切な木と言っても過言ではないポホン・ブリンギンは、数々の古文書・ロンタールにも記されています。その神聖性に触れる記述以外に面白いのが、アジ・ジャナンタコというロンタール文書に記された『ポホン・ブリンギンの木は住宅や寺院などの神聖な建物を造る際に用いてはならない』という部分。一般的にもポホン・ブリンギンの木は強度が弱く、色合いも良くないということで建材には不向きと言われていますが、宗教的な面から見てもガジュマルのように花を付けずに実が生る木は『完全・完璧』な木ではないと捉えられ、建築に使うことを禁じられているのです。一方では神聖視されている木なのになんともおもしろいですね。
    
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●注:こちらのコーナー記事の情報は地域によって差があることもございます。

Photo & written by CHIE