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アパイニ No. 19 ポトン・ギギ(削歯式)

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バリ・ヒンドゥー教の儀式は、日本では見ることのできない変わったものが多くありますが、犬歯を削る儀式『ポトン・ギギ』もその一つ。ガイドブックなどでは成人式に当たる儀式だと説明されていることも多いですが、バリの宗教的意味合いから言うと完全な人間となるための儀式なのです。

APA INI豆知識!

人として成るための”ポトン・ギギ”

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バリ・ヒンドゥー教では、人間はこの世に誕生する際は完全に清い状態ではなく、穢れが付着した状態で生まれてくると言われています。母方からの穢れは髪に、父方からの穢れは歯に留まるため、新生児は生後210日後のサトゥ・オトンと呼ばれる儀式の際に髪の毛を切り、まずは母方からの穢れを落とします。そして成人した後(本来であれば結婚式の前)に父方からの穢れを落とすために行われる儀式がポトン・ギギ。儀式を通して穢れと獣性を落とすことにより、初めて人間となったとみなされるのです。

ポトン・ギギの儀式5つのステップ

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ポトンギギの時期

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基本的にポトン・ギギは男性は声変わりの後、女性は初潮を迎えた後に行う成人の儀式と同時に行いますが、経済面を含めた様々な状況により、ポトン・ギギは結婚後に行ってもよいとされています。ただ葬儀の前には必ず行わなくてはなりません。それは故人であっても変わらず、火葬式の前には稲穂などを使った象徴的なポトン・ギギの儀式を執り行います。

Writers Voice 不完全さもまた人間味

お清めの儀式ともいえるポトン・ギギ。こうやってバリでは人生の節目節目で通過儀礼として何度も様々な浄化を行うのですね。ポトン・ギギでは犬歯と犬歯の間の6本の歯を削ります。それは、人間には6つの穢れ『サッド・リプ』があるといわれているためで、6本の歯を削ることによってそれらの穢れを清めるのです。しかし面白いのは、儀式の際に完全に人間を浄化しきらないということ。サッド・リプ(6つの穢れ)は、多いと良くないけれど、或る程度は人間にとって必要なもの。向上心や継続力となるからだそうです。なるほど!

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●注:この記事の情報は地域によって異なることがあります。

Photo & written by CHIE